BBCモニター考(余談・続×十 K+Hのこと)
ステレオサウンドに載っていた累積スペクトラムの測定結果は、
いうまでもなく無響室でスピーカーシステムの正面の特性である。
累積スペクトラムは、いわばスピーカーシステムの「残響特性」だから、
エンクロージュアからの輻射、それに実際のリスニングルームに設置されたときのことなどを考慮すると、
水平方向30度、60度の位置にマイクをおいた累積スペクトラムも測定してほしいところだ。
正面の特性にくらべるとエンクロージュアからの輻射の比率が高くなるから、
累積スペクトラムのグラフは、減衰はさらに遅くなり、うねり、乱れが多くみられることだろう。
スピーカーシステムに入力される音楽信号は、つねに変化している。
その変化に忠実に対応・追従していくのがスピーカーシステムとすれば、
累積スペクトラムはもっと重視されるべき測定項目だと思う。
でも、累積スペクトラムの測定結果が、理想的なものになるには、いったいどれだけの時間がかかるのだろうか……。
こんなことを、ステレオサウンド 47号の測定結果をみながら思っていた。
そのことを、K+HのO500Cの累積スペクトラムのグラフをみていて思い出した。
O500Cの累積スペクトラムのグラフは、この30年間の技術進歩をはっきりとみせてくれる。
ステレオサウンド 47号には、インパルスレスポンスの結果も載っている。
これもO500Cと47号に登場している10機種のスピーカーシステムの間には、隔世の感がはっきりとある。
O500Cの測定結果をみていると、これがスピーカーの特性なのか、とも思う。
なにかアンプの特性でもみているような気にもなる。
もちろん最新のアンプの特性に近い、とはいわないけれど、
ソリッドステート化される以前の真空管全盛時代のアンプなみの特性に近い、とはいっていいような気がする。