アンチテーゼとしての「音」(アンチ「自己」・その2)
四谷三丁目の喫茶茶会記で、audio wednesdayをやっていた時は、毎月一回、アルテックの音を聴いていた。
2020年12月で喫茶茶会記が閉店してからはアルテックを聴く機会はなくなったが、ここ数年、あるところでアルテックのA4を鳴らして聴くことができるようになった。
私のところには604-8Gがある。早瀬文雄(舘 一男)からもらったモノだ。
舘さんは、彼が書いたものを読んできて、憶えている人ならばJBLというイメージがあることだろう。
確かにJBLが好きだったけれど、どこかにアルテックのスピーカー、それからマッキントッシュのアンプへの憧憬のような感情があったのではないか、と昔から感じていた。
舘さんとステレオサウンドの取材を通して出会った時、彼はキャディラックに乗っていた。
私は車のことは詳しくないから、それがキャディラックのなんというか車種なのかは、一度訊いたけれど、忘れてしまった。
とにかく大きいというより、デカい車だった。古き良き時代のアメ車そのままと印象を受けたのを思い出す。
このころ、舘さんは久我山、私は西荻窪に住んでいたから送ってもらうことがけっこうあった。乗るたびにドアの分厚さ、重量感、シートのふかふかした感触は、アメリカ的豊かさのようなものなのか、と思いました。
そして、その印象は、その頃の舘さんが鳴らしている音とは、なかなか結びつき難かった。