BBCモニター考(余談・続×八 K+Hのこと)
スピーカーの物理特性は、オーディオ機器のなかでいちばん遅れている、というのが古くからの認識である。
アンプの周波数特性が定規で直線を引いたようにまっすぐなのに対して、
スピーカーの周波数特性はフリーハンドで描いた直線もどきにとどまる。
同じ変換系のオーディオ機器でも、振動系の質量が小さなカートリッジはスピーカーよりもいい特性だった。
スピーカーの物理特性は確実によくなっている。
それでもオーディオ機器のなかでは、やはりその進歩の歩みは遅く、
スピーカーの発音原理がなにか画期的なものに変りでもしないかぎり、
飛躍的な向上は無理だろうな、と実のところ思いこんでいた。
K+Hのサイトを探したのは、単にOL10の資料探しがおもな目的だった。
これは結局なにも得られなかった。
かわりにO500Cの存在を知った。
写真をみたときは、それほど興味はわかなかった。
英文の説明に”FIR”の文字を見つけた。
ほーっ、と思った。それですこし興味がわいてきた。
それで実測データ(Measurements)をみた。
周波数特性(Frequency Response)、高調波歪率(Harmonic Distortion at 100dB SPL)、
累積スペクトラム(Cumulative Spectral Decay)、インパルスレスポンス(Impulse Response)などがある。
周波数特性も、いまやここまでフラットにできるのか、と思う。
周波数特性のフラットさにかけては、ジェネレックの、やはりDSPを搭載したアクティヴ型の新シリーズも見事だ。
周波数特性に関しては、数ヵ月に前にジェネレックの特性を見ていたから、見事だと思っても、
O500Cの周波数特性には、驚きはなかった。
私が驚いたのは、インパルスレスポンスと累積スペクトラムだ。