Date: 5月 30th, 2024
Cate: 「スピーカー」論
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トーキー用スピーカーとは(その17)

5月26日の野口晴哉記念音楽室レコード鑑賞会には、
約九十人が集まった。

これだけの人が入ってくると、音はどう変化するのか。
一人、二人、三人……五人くらいまでの音の変化はなんどか体験している。
けれど九十人となると、想像しようとしてもなかなか難しい。

オイロダインが鳴るようになったのが六日前の月曜日。
火曜日と水曜日の音は聴いている。といっても時間にするとそれほど長かったわけではない。

それで当日。
オイロダインの音を一人でも聴いている。
二人、三人……と人が増えていった音を聴きながら、
九十人のときの音は破綻するのか、それとも劇場用スピーカーなのだから、
ものともしない音を響かせてくれるのか。

後者の予感はあったし、そう期待したかった。

当日、最初にかけたフィッシャー・ディスカウとムーアによるシューベルトの「音楽に寄せて」。
ボリュウムの位置は、少しだけ上げていたけれど、
特に不都合は感じさせない鳴り方だった。

こういうところが劇場用スピーカーの実力なのか。
その15)、(その16)で取り上げている「フロリダ」というダンスホールでの、
ウェスターン・エレクトリックの話も、そうだろう。

「フロリダ」にどれだけの人が集まっていたのかは知らないが、
ウェスターン・エレクトリックのシステムを揃えるに、
そして毎月の使用料がそうとうに高価だったことはわかる。

つまりそれだけのお金をウェスターン・エレクトリックに払っても利益があるほどに、
人が「フロリダ」に集まっていたわけで、
このことは、それだけの人が集まってもいい音が鳴っていたからこそのはずだ。

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