ジャーマン・フィジックス HRS130(とベストバイ・その3)
Kindle Unlimitedで、ステレオサウンド 225号を読んでいる。
ステレオサウンド・グランプリで、ジャーマン・フィジックスのHRS130は選ばれている。
小野寺弘滋、傅 信幸、和田博巳の三氏がHRS130について書かれている。
小野寺弘滋氏は、《無指向性であっても曖昧さや茫洋なところのない、それでいて無指向性システムならではのリラックスした雰囲気をかもし出す無二の存在。》、
傅 信幸氏は、《本機の鳴りかたには特有のライヴ感がある。本機の位置にステージが出現するのには、ギョッとさせられてしまう。まるでトリックアートを観るかのようだ。》、
和田博巳氏は、《リビドーを喚起するDDDユニットの妖艶な音は、この音に魅せられたら最後、本モデルを買うしかない。個人的に困った存在だ。》、
というふうに評価されている。
三氏の本音はなんともわからないが、
高く評価されている、と受け止めていいだろう。
ジャーマン・フィジックスのDDD型ユニットの実力を高く評価している者としては、
それぞれにちょっとずついいたいことはあるけれど、ここでは控えておく。
ベストバイでもHRS130は選ばれている。
小野寺弘滋、傅 信幸、山之内 正の三氏が星(点)を入れていて、
三氏とも一つ星で、計三星で、ペアで320万円以上のスピーカーシステムとしては、七位。
ベストバイでは、小野寺弘滋氏がコメントを書かれている。
さらっとしているな、と読んでいてまず感じた。
和田博巳氏は今回はベストバイの選考委員ではない。
和田博巳氏が例年とおり選考委員の一人だとしたら、星いくつだったのか。
《個人的に困った存在だ》とまで書かれているのだから、
星一つということはないだろう。
星二つ、もしくは三つか。
そうなっていたら、小野寺弘滋氏ではなく、和田博巳氏が書かれていたかもしれない。
ステレオサウンド・グランプリとベストバイでの評価に温度差を感じることは、
今回のHRS130だけのことではない。
これまでにはあった。
ステレオサウンド・グランプリではけっこう高く評価していたはずなのに、
同じ号でのベストバイでは、意外に冷静な評価(冷たい評価)と感じたことは、ままある。
それはステレオサウンド・グランプリとベストバイとでは選考基準が違うから──、
そのことはわかっているうえで、これを書いている。