オーディオ 夢モノがたり(想像してみてほしい・その3)
二十数年前、自転車熱がすごく熱くなった。
自転車の雑誌もすべて買っていた。
といっても、そのころはそれほど雑誌の数は多くなかった。
秋に開催される自転車のショウにも行っていた。
そのころは、あれこれ妄想していた。
宝くじに当ったら、どの自転車を買うか。
自転車のフレームの素材は、鉄がありアルミがあり、チタン、カーボンとある。
それぞれの良さがあるわけだが、同じブランドで、それぞれの素材のフレームに乗ってみる。
これが、いちばんフレームの素材の違いを確認できるのだが、
そのころの自転車の雑誌で、それをやったところはない。
実際のところどうなのだろうか。
宝くじに当たれば、自分でやれる──、そんなことをおもっていた。
それだけでなく買いたいフレーム、パーツはいくつもある。
ロードバイクだけでなく、一台くらいはマウンテンバイクも欲しい、
それにロードバイク、マウンテンバイクにしても日常の足として乗るのには、
あまり適さないから、そういう自転車としてアレックス・モールトンも欲しい──、
こんなことを考えている(妄想している)と、ふと我にかえって、
どんなにお金があって、欲しい自転車をすべて買ったところで、
実際に乗れる自転車は、一度に一台である。
少し冷静になってみると、お金がどんなに余っていたとしても、
ロードバイクが二台、マウンテンバイクが一台、アレックス・モールトンが一台、
計四台の自転車があれば、それ以上何を欲するのか。
妄想を思いっきり拡げた後に、冷静になってみる。
いまは12月。すっかり冬である。
冬といえば、やっぱりこたつ。
和室にこたつがあれば──、私はそうおもう。
いま住んでいるところは和室ではないから、こたつはない。
こたつなんて、あんなださいもの──、という知人がいた。
彼はこたつに入ったことがないらしい。
そういう人は、こたつの良さはわからないだろう。
それで何がいいたいかというと、こたつである。
和室である。
そしてオーディオである。
この三つが揃っていれば──、そんなことをおもっている。