Gould 90(その4)
アレクシス・ワイセンベルクも、ゴールドベルグ変奏曲を二回録音している。
しかも二回目はグレン・グールドと同じ1981年である。
グールドの1981年録音のゴールドベルグ変奏曲は、1982年秋に出た。
ワイセンベルクのゴールドベルグ変奏曲は、いつ出たのだろうか。
記憶にない、というのではなく、まったく気づいていなかった。
私がワイセンベルクのゴールドベルグ変奏曲を聴いたのは、
別項「アレクシス・ワイセンベルク」で書いているように昨夏から、
TIDALに、ワイセンベルクのアルバムがかなりの数あるからだ。
グールドがワイセンベルクのことを高く評価していたのは知っていた。
それでもこれまでほとんどといってくらいにワイセンベルクを聴いてこなかった。
それがいまでは聴くようになった。
グールドのゴールドベルグ変奏曲の未発表レコーディング・セッション・全テイク、
これが出るというニュースをきいてからもワイセンベルクのゴールドベルグ変奏曲を聴いた。
聴いていて、ワイセンベルクはグールドに似ている、というよりも、
グールドに近い、と感じていた。
そしてグールドの未発表のテイクのなかには、
ワイセンベルクの演奏に近い変奏曲があっても不思議ではない──、
そんなことをおもうようにもなっていた。
近い演奏がまったくない、と思っていない。
といっても、まだ聴いていないのだから、なんともいえない。
まったくないのかも知れない。
あと二ヵ月ちょっと経てば、グールドの未発表テイクは発売になる。
その時またワイセンベルクのゴールドベルグ変奏曲を聴いている。