Date: 6月 12th, 2022
Cate: 日本の音
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日本の音、日本のオーディオ(その40)

アグレッシヴとまでいわれたことのある日本のスピーカーから鳴ってくる音。
その38)で引用している瀬川先生の文章も、そのことを伝えているし、
1980年代の598のスピーカーの音は、まさしくアグレッシヴだった。

それだけではない、ハイスピードを謳ったスピーカーシステムが、
一時期各社から登場していた。
ハイスピードを謳ったモノほど、そこから出てくる音はアグレッシヴであった。

その一方で、日本のスピーカーを代表する存在として、
日本の音とはっきりといえる存在として、ダイヤトーンの2S305があり、
2S305の音は、アグレッシヴからはほど遠い。

日本のスピーカーのアグレッシヴな音は、
店頭効果によって生み出されたもの──、そういう見方はたしかにできる。

でも、ほんとうにそれだけが理由なのだろうか。
日本のスピーカーシステムは、どの方向を目指していたのだろうか。

2S305の後に登場した日本のスピーカーで、
海外でも高い評価を得たのは、ヤマハのNS1000Mである。
鮮鋭な音といわれたNS1000Mである。

NS1000Mの登場と成功が、アグレッシヴな音を生み出すことにつながっていったのか。
NS1000Mの音は何度も聴いているけれど、
登場したころは、私はまだオーディオに関心をもっていなかったから、
当時のことを肌で感じているわけではない。

そのNS1000Mを、1980年代、ステレオサウンドの試聴室でじっくり聴く機会があった。
鮮鋭さを代表する音というよりも、充分に鳴らし込まれたその音は、
意外にも穏やかな面を聴かせてくれた。

日本の音、日本のスピーカーの音とは──、
について考えるときに思い出すのは、黒田先生の文章である。

ステレオサウンド 54号、スピーカーシステムの総テストで、
エスプリ(ソニー)のAPM8の試聴記に、それが出てくる。
     *
化粧しない、素顔の美しさとでもいうべきか。どこにも無理がかかっていない。それに、このスピーカーの静けさは、いったいいかなる理由によるのか。純白のキャンバスに、必要充分な色がおかれていくといった感じで、音がきこえてくる。
     *
これこそが、日本の音のはずだ。
残念なことにAPM8を聴くことはできなかった。
けれど、ダイヤトーンのDS10000は聴いている。

DS10000の音も、どこにも無理がかかっていない。

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