Date: 6月 13th, 2022
Cate: 日本の音
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日本の音、日本のオーディオ(その41)

そういえば、ともうひとつ思い出したモデルがある。
ダイヤトーンのP610である。

ロクハン(6インチ半、16cm口径)のフルレンジユニットである。
P610と型番だけいえば済んだのはもう昔のことで、
P610といっても、何の型番が通用しなくなっていることだろう。

P610は私がオーディオに興味をもったころ、
一本2,500円していたはずだ。
特に高価なユニットではなかった。
有名すぎるユニットで、古典的なユニットともいえた。

P610の音ならば聴いている──、という人はけっこう多いはずだ。
P610は高性能のユニットではないから、無理な鳴らし方をしてしまってはだいなしになるが、
何の変哲もないエンクロージュアに入れて、音量も帯域も欲張らずに鳴らせば、
どこにも無理がかかっていない音を聴かせてくれる。

エンクロージュアは密閉型ならば、16cmという大きさを無視して、
かなり容積をもたせたい。
小さいエンクロージュアに無理矢理押し込めるような使い方はしないほうがいい。

欲張れば無理をすることになるユニットだが、
どこからが無理なのか、それを見極めて鳴らせば、
いまでも、その音は、どこにも無理がかかっていない性質の音のはずだ。

古い機種ばかり挙げても──、と思う。
その39)で触れているTADのTAD-ME1は、
私が聴いた範囲では、どこにも無理がかかっていない音を響かせていた。

だから、TADも、ついに、こういう音を鳴らせるようになったのか、と驚いただけでなく、
この音ならば、ずっと聴いていたい、とも思った次第だ。

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