カザルスのモーツァルト(その9)
パブロ・カザルス指揮のモーツァルトはよく聴く。
モーツァルトの交響曲を誰の指揮で、いちばん多く聴いたか。
正確に数えたわけではないが、カザルスのモーツァルトをもっとも数多く聴いている。
カザルスのモーツァルトが好きである。
だからといって、カザルスのモーツァルトばかり聴いているわけではなく、
ベンジャミン・ブリテン指揮のモーツァルトもカザルスについでよく聴いている。
カルロ・マリア・ジュリーニのモーツァルトもよく聴くし、
他にも同じくらいよく聴く指揮者は何人もいる。
こんなふうに書いていくと、節操ないように思われるだろうが、
聴きたいとおもったモーツァルトは、けっして一つ二つではない。
それと同じくらい、もうこの人(指揮者)のモーツァルトはもう十分だ──、
そんなふうに思ってしまっている指揮者もいる。
昨晩、ユッカ=ペッカ・サラステのモーツァルトの交響曲集を聴いていた。
2011年に発売になっているけれど、私は昨晩初めて聴いた。
サラステという指揮者を、私は過小評価していたことに気づかされるほどに、
清新な印象のモーツァルトである。
カザルスのモーツァルトとは、かなり違う。
それでも、どちらのモーツァルトも活き活きとしている。
そつなく演奏(指揮)しているけれど……、といった感じのモーツァルトではない。
モーツァルトの魅力を、こちらの心にあらたに残る感じで、
モーツァルトの聴きなれた交響曲が鳴ってくる。
私が寡聞にして知らないだけで、
サラステのモーツァルトは高い評価を得ているのだろうか。
どうなのだろう。