Date: 2月 27th, 2022
Cate: Glenn Gould, 録音
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録音は未来/recoding = studio product(その5)

別項で、鮮度の高い音について書いているところだ。
この「鮮度の高い音」を、
オーディオにおける金科玉条とする人はけっこう多い。

そうしたい気持はわかるし、ワルいとまではいわないけれど、
その「鮮度の高い音」は、ほんとうの意味での鮮度の高い音なのか──、
そのことについてとことん語られているのを、私は見たことがない。

私がみたことがないだけであって、
どこかで行われていたのかもしれないが、その可能性を否定しないけれど、
どうもそうとは思えない。

「鮮度の高い音」を金科玉条とする人たちは、
録音に関しても、同じ事を唱える。
シンプルな録音こそ最上だ、と。

具体的に書けば、マイクロフォンの数は二本。
つまりワンポイント録音である。

マルチマイクロフォンにすれば、ミキシングのための機器が必要となる。
そういう機器は、音の鮮度を落とすことになる。
同じ理由で、エフェクター類の使用は、まったく認めない。

ケーブルも吟味して、できるだけ短い距離で、各機器を接続する。
使用する器材はマイクロフォンと録音機器のみである。

これ以上、削ったら録音ができないまでに減らしての録音こそ、
鮮度の高い音が録れる、ということになる。

実際に、そういうコンセプトを売りにしているレーベルもある。
このことが悪いわけでもないし、可能性を感じないわけでもない。

たとえばプロプリウスから出ているカンターテ・ドミノ。
この録音こそ、まさにこういう録音である。

これまでにさんざん聴いてきたし、これからも昔ほどではないにしろ、
確認のために聴くことは間違いない。

でも、カンターテ・ドミノをstudio productと感じているかといえば、
そうではない。

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