Date: 4月 6th, 2011
Cate: 黒田恭一
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黒田恭一氏のこと(その19)

けれど黒田先生は、4343をAPM8にはされなかった。

ステレオサウンド 54号のちょうど2年後に出た62号で、またAPM8を聴かれている。
特集のテーマは「日本の音・日本のスピーカー その魅力を聴く」。
ここでは、パイオニアのS-F1も聴かれている。

APM8もS-F1も、そのころ日本のメーカーが積極的に開発をすすめていた平面振動板を採用、
そしてどちらも4ウェイ構成で、価格もS-F1が875,000円、APM8が1,000,000円と、そう大きな差はない。

このふたつのスピーカーシステムを、
黒田先生はAPM8をアントン・ウェーベルンに、S-F1をアルバン・ベルクに、
さらにAPM8をクラウディオ・アバドに、S-F1をカルロス・クライバーにたとえられている。

つまりAPM8のほうが響きがやや暗めでクール、それにスタティックなのに対して、
S-F1は少し明るく少し温かく、そしてアクティヴだということ。

ただこれらの表現は、あくまでもAPM8とS-F1を対比して、語られているものだということを忘れないでほしい。

1982年の時点で、黒田先生はS-F1に「ゆさぶられている」。
そしてステレオサウンド 63号につづいていく。

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