程々の音(その31)
スピーカーがあって、そこで音楽を聴くのであれば、
そこはリスニングルームとなるわけだが、
それでも書斎は、やはり書斎であり、
ベッドルームは、どうやってもベッドルームである。
セレッションのUL6とロジャースのLS3/5Aの違いを、
ここでのテーマである「程々の音」ということで捉えるならば、
そんなことをつい思ってしまうことになる。
このあたりのことは、
中学生のころ読んでいたステレオサウンドの影響が残っているからでもある。
43号のベストバイでの瀬川先生のUL6評。
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イギリスの小型スピーカーの中に、えてして高域の細いやや腺病質的な音質があるが、セレッションの製品にはそういう弱点が少なく、中域のしっかりした上品な艶のある音色で、音楽をとても生き生きと聴かせる。この小さい箱を見た目の印象からは驚くほどの低音も出る。ごく質の良いセカンドスピーカーが欲しいと相談されたら、一〜二に推したい。
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《ごく質のよいセカンドスピーカー》とある。
それだけでなく、43号の半年前の「コンポーネントステレオの世界 ’77」で、
ヨーロッパ的な雰囲気のリビングルームに、さりげなく置かれていたUL6の写真があった。
それだけでなく、女性読者のための組合せで、
瀬川先生はスピーカーにUL6を選ばれていた。
ここでの組合せでは、UL6の他に同じセレッションのDitton 11、
それからKEFのCorelliとCantata、B&WのDM4/II、
そしてロジャースのLS3/5A、六組のスピーカーを用意されていた。
いうまでもなくいずれもイギリスのスピーカーばかりであり、
結果としてUL6である。
翌年の「コンポーネントステレオの世界 ’78」では、
ベッドルームの写真があった。
ウーヘルのカセットデッキCR210に、アンプはスペンドールのD40、
スピーカーはUL6ではなく、スペンドールのSA1だったのだが、
UL6も、ここに似合うな、と思いながら、写真を眺めていた。