サイズ考(その69)
アナログ全盛時代には、サイズの大きさは、性能の高さともかなり密接に関係していたところがある。
とくに入力系に関しては、その傾向が強かった。
テープデッキでは、カセットテープよりもオープンリールテープのほうが、格上の存在としてあった。
オープンリールテープデッキでも、音をよくするためにテープ速度を増していく。
それに反比例して録音時間は短くなるから、リールの号数も大きくなっていく。
アナログプレイヤーもそうだ。927Dstという存在があったし、
マイクロの糸ドライブ(のちにベルトドライブに)も、
瀬川先生がやられていたように、二連ドライブという方法もあったし、
同じ構造のトーンアームなら標準サイズのモノよりもロングアームのほうが、一般には音がよいといわれていた。
とにかく性能(音)を向上させていくには、物量を投じていく必要性が、あのときはあった。
デジタル時代になっても、しばらくは同じだったといえる。
コンパクトディスクという名称にふさわしいCDプレイヤーを最初に送り出してきたフィリップスでも、
CD63とLHH2000とでは、ずいぶんサイズは異る。
このふたつはコンシューマー用とプロ用という違いがあるため、
サイズを同列には比較できないところはあるけれど、
この2機種のサイズの差は、そのまま音の差にもなっていると、やはり思ってしまう。
最初は一体型しかなかったCDプレイヤーにも、アンプ同様、セパレート型が登場してきた。
44.1kHz、16ビットというフォーマットのなかで、音を良くしていくために物量が投じられていった。