2020年をふりかえって(その2)
すこし前に、大塚家具の大塚久美子社長が辞任する、というニュースがあった。
五年前の3月、大塚家具の株主総会があった日に、
たまたまなのだが、大塚家具の社員数人が近くにいた。
彼らは仕事中でも、携帯電話をしきりにみていた。
株主総会の行方が気になってのことだった。
結果が出て、彼らはみな驚いていた。
彼らは大塚勝久氏が勝つものだと信じていたようだった。
なので、これからどうなるんだろうか……、と不安顔でもあったし、
次の言葉が印象に残っている。
「久美ちゃん、家具、好きじゃないからなぁ……」
そう言っていた大塚家具の社員は、みた感じ30代ぐらいの女性だった。
大塚久美子氏は、五年前の時点では、社員から久美ちゃんと呼ばれていたようだ。
家具が好きじゃない人が、家具会社の社長になる。
このことを、ある人に話したところ、
その人は、
「大塚久美子氏は一橋大学を出て、MBAも持っている。これからの大塚家具は、だから伸びていく」、
自信満々で、私にそう言った。
そういうものだろうか、と思いながらきいていたけれど、
反論する気はなかった。
その人は、自分が正しい、といわんばかりだった。
その人の予想が外れたことはどうでもいいことであって、
家具が好きでない人が会社のトップに就く。
このことがあったから、五年前から、大塚家具のゆくえが気になっていた。