真空管アンプの存在(KT88プッシュプルとタンノイ・その3)
今日、東京は暑かった。
出掛ける用事がなくて、よかった、と思うほどに暑かった。
そんな暑い日中に、コーネッタをKT88のプッシュプルアンプで鳴らしてみたいなぁ、と思っていた。
私がタンノイに接いで聴いたことのあるKT88のプッシュプルアンプは、
マッキントッシュのMC275、マイケルソン&オースチンのTVA1、
ウエスギ・アンプのU·BROS3、ジャディスのJA80の四機種だけであることは、(その1)で書いたとおり。
いずれも、いまとなっては30年、40年ほど前のアンプだから、
いまでは新品で手に入れることはできない。
ジャディスのJA80は、いまMKIIになっているが、
いま日本に輸入元はない。
話はそれるが、この十年ほど、こういうことが増えてきた。
以前は輸入されていて、ある程度知れ渡っていた海外のブランドが、
いまではすっかり忘れられてしまっている、という例が意外とある。
そのブランドがなくなってしまったわけではなく、
単に日本に輸入されなくなっただけの話だ。
しかもアジアの他の国には輸入元がある。
日本にだけない、という例が具体的には挙げないが、まだまだある。
しかも増えてきているように感じる。
それらのブランドは、なんらかの理由で日本の市場から淘汰されただけなんだよ、
そんなことをいう人もいるけれど、ほんとうにそうなのだろうか。
そういうブランドもあるだろうけど、なにか日本だけが取り残されつつあるよう気もする。
話を戻すと、コーネッタは比較的新しいトランジスターアンプで鳴らしたい、という気持に変りはないが、
それでも、こんなふうにふとKT88のプッシュプルアンプで鳴らした音を聴きたい、と思う。
なにもこんな暑い日に、こんなことを思わなくてもいいだろうに……、と自分でも思いながらも、
なぜKT88なのだろうか、とも考えていた。