Date: 3月 7th, 2020
Cate: ディスク/ブック
Tags:

ベートーヴェン ピアノ協奏曲全集(その6)

ようやく自分のシステムで鳴らした児玉麻里とケント・ナガノのベートーヴェンのピアノ協奏曲

もっと早く鳴らしていればよかった、と思えるくらいの感じでは鳴ってくれた。
ただ単にいい音で鳴ってくれた──、ではむしろ何の満足もない。

菅野先生が「まさしくベートーヴェンなんだよ」、
そういわれた理由が伝わってくる音でなければ、
このディスクをかける意味が、少なくとも私にはない。

菅野先生のところで、このディスクを聴いていなければ、
そんなことはまったく思わなかったはずだ。

でも聴いている。
それがどんなふうに鳴ってくれたのか、
私の心にどう響き、
何を感じさせたのかについて、以前書いているので、ここではくり返さない。

まさしくベートーヴェンであるために、動的平衡の音の構築物であってほしい。
音場感がよく再現されている、
音の定位もいい、各楽器の質感もよく鳴っている──、
そんな感じの音で鳴ったとしても、それは「まさしくベートーヴェン」とはいえない。

動的平衡の音の構築物であってこそ、私にとっての「まさしくベートーヴェン」であり、
おそらく菅野先生にとってのベートーヴェンも、そうであったと確信している。

私のところで鳴ってきた音は、
動的平衡の音の構築物としては、まだまだである。
そんなことはわかっていたことだ。
それでも、片鱗を感じさせてくれた。

このディスクは、以前CDを鳴らしていた。
知人宅でも聴いている。
いずれでも、そんな印象は微塵も感じなかっただけに、今回感じた片鱗は、
片鱗であっても、「まさしくベートーヴェン」の世界へ一歩足を踏み入れたことだけは確かだ。

Leave a Reply

 Name

 Mail

 Home

[Name and Mail is required. Mail won't be published.]