オーディオと「ネットワーク」(SNS = SESか・その9)
ステレオサウンドが、全国のオーディオクラブを取材していたころは、
SNSなんてものは存在していなかった。
SNSはやらない、とはいわない。
やっているし、便利だと感じているところもある。
しばらくは、続けていく。
でも距離はある程度はいつもとっておきたい、とも思う。
SNSで感じられる、距離をとっておきたい、と思うのは、
仲良しクラブ的雰囲気が、どことなく漂ってくるからだ。
仲良きことは美しき哉、
武者小路実篤の、名言といわれているものだ。
けれど、私がSNSから感じている仲良しクラブ的雰囲気は、
美しい、とはとうてい感じられない。
それは仲良しごっこなためなのかもしれない。
オーディオの関係者の仲がいいことは、ほんとうに望ましいことなのか。
オーディオの関係者には、いろんな人たちが含まれる。
オーディオ関係の出版社の人たち。
この人たちも、編集者もいるし、営業・広告の人たちもいる。
広告代理店の人もいる。
オーディオ雑誌になにか書いている人たちもいる。
メーカーの人たちのなかには、開発の人、営業・広報の人がいる。
輸入代理店の人もいる。
販売店の人たちも大勢いる。
そういう人たちが、みな仲良しクラブ的にやっていく──、
それはほんとうに望ましいことなのか。
オーディオの関係者のなかには、
オーディオに関係する人たちみなが仲良くやっていくことはよいことだ──、
そんなことをいっている人がいる、と聞く。
誰なのかは知らないから、どんな人がいっているのか、
どういう意図なのかもわからない。
そこに、わずかな気持悪ささえ感じていないのか。
感じながらも、あえてそんなことを言っているのと、
まったく感じずにいっているのとでは、まるで違う。