静寂から音楽が生まれる
「静寂から音楽が生まれる」は、
アンドラーシュ・シフのインタヴューとエッセー集である。
アンドラーシュ・シフは、素晴らしいピアニストだと想っている。
デッカ時代に録音したバッハを聴いて、そう思った。
20代のある時期、シフのディスクをよく聴いていた。
なのにある時からスパッと聴かなくなってしまった。
1990年代は、まったく聴かなくなっていた。
シフを再び聴くようになったのは、
ある人から、誕生日プレゼントといわれ、
シフのゴールドベルグ変奏曲のCDをもらったからだ。
レーベルはECMになっていた。ジャケットもデッカ時代とはまるで違う。
十数年ぶりに聴いたシフは、やはり素晴らしいピアニストだった。
それからしばらくはシフの、ECMでのライヴ録音のディスクが出るのが楽しみだった。
パルティータもよかった。
ベートーヴェンのピアノソナタがはじまった。
後期のソナタが出るのが、ほんとうに待ち遠しかった。
「静寂から音楽が生まれる」。
ECMの録音で聴けるアンドラーシュ・シフの演奏は、
まさにそういいたくなる。
そうなのだが、シフのディスクをパタッと聴かなくなってしまっている。
また20代のころと同じことになっている。
なぜなのか、自分でもよくわからない。
「静寂から音楽が生れる」を読めば、なにかつかめるのだろうか。