20代のころの夢もしくは妄想(その3)
三度目のデッカ・デコラの音だった。
三度目にして、ほんとうにじっくりと聴くことがかなった。
そしてグラシェラ・スサーナを聴くことができた。
デコラを手に入れて十数年、
一度もクラシック以外のレコードはかけたことがない──、
そのデコラの鳴らし手(使い手)は、そういわれた。
なのに、そのデコラでグラシェラ・スサーナをかけてもらった。
ずうずうしい、あつかましい、
そんなふうに思われようと、
一度でいいからデコラで、グラシェラ・スサーナの、
それもタンゴやフォルクローレといったスペイン語による歌ではなく、
日本語の歌、いわゆる昭和の歌謡曲を聴かせてもらった。
この機会を逃せば、二度とデコラでグラシェラ・スサーナの歌を聴くことはない、と思っていた。
だから(その2)を書いて公開した。
読んでくださっていることがわかっているから書いた。
おかげで聴くことができた。
いろいろおもうことがあった。