完璧な音(その1)
完璧な音とは?
どういう音なのだろうか、ふと考える。
美しい音が完璧な音とイコールとはいえない。
いい音イコール完璧な音なのか、といえば、これも違う。
プログラムソースに収録されている音そのままを再現できれば、
そこに歪もノイズも加わることなく、
何らかの情報欠落もなく、何かが加えられることなく音が、
聴き手の耳まで到達できれば、それが完璧な音なのか。
完璧な音ではなく、完璧な文章だったら、どうだろか。
どんな文章が完璧な文章なのか。
完璧と評されている文章はあるのだろうか。
プロの書き手は、完璧な文章を目指しているのだろうか。
そんなことを考えていた。
素晴らしい文章といわれても、読み手によって受け止め方が違う。
どうしてこんな読み方をするのだろうか、といいたくなる読み方をする人もいる。
どんな文章であれ、曲解されるもの、といっていいだろう。
どれだけ優れた文章であっても、わずかな人が曲解すれば、
それはもう完璧な文章とはいえないのではないか──、
こんなふうに考えてみた。
だとすれば、どんな読み手であっても、
そこに書かれたことを曲解せずに、正しく受け止めることができる文章こそが、
完璧な文章となるのか。
そうだとすれば、完璧な音も、そういう音ということになるのか。