ステレオサウンド 210号(その2)
別項「オーディオのデザイン、オーディオとデザイン(Air Force ZEROのこと・その3)」で、
菅野先生が、オーディオのデザインについての連載を、
「ひどい記事だったね」といわれたことを書いている。
気づいてほしいのは、ひどい記事と思われながらも、
その連載をきちんと読まれていたことである。
私も、その連載は毎回読んでいた。
読んでいたから、菅野先生とふたりして「ひどい記事だったね」となったわけだ。
ひどい記事だと思っても、一度は目を通す。
そのことを思い出したから、今日、ステレオサウンド 210号を手にとっていた。
336〜337ページの、LINNの新製品、
Selekt DSMの記事でページをめくる手が止った。
違和感といったら大袈裟すぎだけど、
あれっ? と思うところがあってだ。
記事にはSelekt DSMの写真がある。
Selekt DSMのディスプレイには、
Shostakovich;
Symphony No.5 in…
96kHz/24bit FLAC
と表示されている。
これ自体におかしいところがあるわけではない。
ショスタコーヴィチの交響曲第五番を、
Selekt DSMを試聴した人は聴いたのだな、と写真を見て思う。
けれど試聴記にはショスタコーヴィチのことはまったくない。
試聴記になくても聴いたんだろうな、と思い、
新製品紹介の最後にある試聴ディスク一覧(399ページ)をみると、
確かに、ショスタコーヴィチ:交響曲第五番とある。
けれどショスタコーヴィチを試聴用に聴いているのは三浦孝仁氏である。
Selekt DSMを試聴しているのは山本浩司氏である。
試聴ディスク一覧は、試聴に使われたディスク(ファイル)のすべてではないことは、
必ず「他」と記されていることからもわかる。
そうであっても、試聴記に一切出てこないディスク(ファイル)を表示させるのか。
Selekt DSMのひとつ前のページでは、dCSのBartók DACを三浦孝仁氏が紹介している。
そこの試聴記にはショスタコーヴィチと出てくる。