現代真空管アンプ考(その26)
トランスの取り付け方、取り付け位置は注目したいポイントである。
カタログやウェブサイトなどでの製品の説明で、
良質で大容量の電源トランスを使用していることを謳っているものはけっこうある。
オーディオ雑誌の記事でも、製品の内部写真の説明でも、
電源トランスは……、という記述があったりする。
アンプにしても、CDプレーヤーにしても交流電源を直流にして、
その直流を信号に応じて変調させて出力をさせているわけだから、
電源のクォリティは、音のクォリティに直結しているわけで、
電源トランスは、その要ともいえる。
だからこそ良質で(高価な)トランスを採用するわけだが、
その取り付け方をみると、このメーカーは、ほんとうに細部までこだわっているのだろうか──、
そう思いたくなるメーカーが、けっこう多い。
ケースなしの電源トランス、
特にトロイダルコアの電源トランスをどう固定するか。
どんなに電源トランスのクォリティにこだわりました、と謳っていても、
こんな取り付け方しかしないのか、取り付け方を自分たちで工夫しないのか、考えないのか、
そういいたくなることがある。
安価な製品であれば、それでもかまわない、と思うけれど、
数十万円、百万円をこえる製品なのに、
電源トランスも大きく立派そうにみえるモノであっても、
取り付け方は標準的な方法そのままだ。
ここまで書けば、製品内部をきちんと見ている人ならば、
どういうことをいいたいのかわかってくれよう。
細部まで疎かにせず、とか、細部までこだわりぬいた、とか、
そういう謳い文句が並んでいても、電源トランスの取り付け方が、
そのこだわりがどの程度のものなのかを、はっきりと示している。