メリディアン ULTRA DACを聴いた(その14)
もうひとつ思い出していた音(音触)がある。
30年ほど前に聴いているメリディアンのM20の音である。
M20はパワーアンプ内蔵のスピーカーシステム。
スタンド込み(一体型)のフロアー型となるけれど、
エンクロージュアのサイズ自体は大きくはない。
ウーファーは10cm口径を二発、ソフトドーム型トゥイーターを、
いわゆる仮想同軸配置している。
これまでに何度か書いているようにM20の音は、魅力的だった。
買おうと、かなり本気で考えていた。
プリアンプの機能をもつメリディアンのCDプレーヤー207との組合せは、
私にとっては、メリディアンの数々のモデルの中で、いまも欲しい(聴きたい)と思う。
M20と207だけでシステムが成り立つ。
魅力的なのは、その簡潔さよりも、やはり音である。
ひとりぽつねんとしている夜に、M20と207のシステム、
それに女性ヴォーカルの愛聴盤があれば、ひとりでいることを忘れさせてくれるだけでなく、
ひとりでいることを堪能できよう。
聴きふけることができるからだ。
満たされるはずだ。
それでも、これだけでは、すまないところがオーディオマニアなのであって、
満足できる、といいながらも、あと少しばかりスケール感があれば……、とか、
あれこれこまかな注文をつけたくなってくる。
そんなことを求めなければ、幸せな音楽のある生活を送れるのに──、とわかっていても、
どうしようもなく求めてしまう。