メリディアン ULTRA DACを聴いた(その13)
私としては、このままグラシェラ・スサーナの歌だけを聴ければそれで充分という気持もあった。
けれど聴いているのは私だけではないし、
私だって、グラシェラ・スサーナ以外がどう鳴ってくれるのかを確認したい気持はある。
ユニバーサルミュージックのクラシックのサンプラーを聴いてみた。
まずは通常のCDで、
カラヤン/ウィーンフィルハーモニーによるR.シュトラウスの「ツァラトゥストラはかく語りき」。
1959年のデッカ録音。
冒頭のノイズ。この鳴り方が通常のCDとMQAとでは大きく違う。
もうここだけでMQAの優位性が感じられる。
「ツァラトゥストラはかく語りき」はあまり聴きたくない曲だし、
サンプラーということもあって、収録時間は短い。それでも違いは誰の耳にもはっきりとわかるはずだ。
続いて2トラック目のカルロス・クライバー/ウィーンフィルハーモニーによるベートーヴェンの五番。
通常のCDの音も優れている。
それでもMQAでの音を聴いてしまうと、その違いははっきりと耳に残る。
ここでアップサンプリングのフィルターを切り替えてみた。
それまではshortで聴いていた。
ちなみにMQAディスク再生時には、フィルターは関係なくなる。
shortの音、mediumの音、longの音。
グラシェラ・スサーナの「仕方ないわ」では、圧倒的にshortの音だったが、
ここでは圧倒的にlongの音をとる。
longでのフィルターで再生したCDの音は、
クライバーの五番を最初に聴いた時の感触を思い出させた。
LPで聴いている。
クライバーのディスクは、この日、「椿姫」もかけた。
ここでもクライバーの「椿姫」をLPで聴いていたころの感触を思い出していた。
艶のある黒い円盤の感触が、ULTRA DACの音を聴いていると思い出させられる。
これも音触なのか、と思いながら聴いていた。