メリディアン ULTRA DACを聴いた(その10)
「アドロ・サバの女王」は、百万枚をこえたグラシェラ・スサーナのアルバム。
グラシェラ・スサーナの名前を知らない人でも、
私よりも上の世代の人ならば、どこかで耳にされているかと思う。
熊本のオーディオ店に定期的に来られていた瀬川先生も、
一度「アドロ・サバの女王」のLPを持ってこられた。
「サバの女王」の試聴のポイントについても話された。
グラシェラ・スサーナの歌が、どれだけ情感豊かに鳴ってくれるか、
左チャンネルで、チッチッとリズムをきざむ音がどれだけ明瞭に聴きとれるか、
かといって耳障りに聴こえてはダメだ、とか。そんなことを話された。
そういうふうに、既に聴いていただけに嬉しかったこと思い出す。
私にとってグラシェラ・スサーナの歌は、LPで聴いてきた音でもある。
これまで、さまざなCDプレーヤー、D/Aコンバーターで、グラシェラ・スサーナの歌を聴いている。
いいなぁ、と思うこともあったが、
アナログディスクで聴いていた質感を思い出させてくれるモノ(音)は、なかった。
私は、アナログディスクの音こそが最高だとは思っていない。
アナログディスクには特有の欠点があるし、
CDも同じである。
それぞれに良さもあれば悪さもある。
私がメリディアンのULTRA DACについて、ここまで書いているのは、
初めて、デジタルで聴くグラシェラ・スサーナの歌の質感が、
LPで熱心に聴いていたころの質感を思い出させてくれた。
まったく同じとはいわない。
けれど同質である、と感じていた。
何がそう感じさせるのかは、いまのところははっきりと掴めていないが、
とにかくグラシェラ・スサーナの歌声がよみがえった、といえる。
CDで聴いても、MQAディスクで聴いても、
ULTRA DACが再生する声は、実に見事だ。
歌が好きな人ならば、愛聴盤をもってULTRA DACを聴いてほしい、と思うほどだ。