Date: 12月 21st, 2019
Cate: 音の良さ
Tags:

音の良さとは(好みの音、嫌いな音・その6)

帯域バランスを、誰が聴いてもはっきりとくずれているとわかるほどまでに、
グラフィックイコライザーをいじって、嫌いな音を無理にでも抑えていく。

そうやって、彼にとって、到底がまんできないたぐいの音を出さない(抑える)ことで、
その音は、彼にとっての良い音ということになるのか。

私が知っている知人の例では、そうなっていた。
あきらかにバランスが崩れてしまっていても、
彼の耳にはバランスよく聴こえているのかもしれない──。

仮にそうであったとしても、
そうやって得られた音は、音楽の表現力に大きな制約をつくりだしてしまっている。

そうなると、そんな音で聴きたくなる音楽は狭まっていく。
オーディオで音楽を聴く、ということは、
自分の音によって、聴く音楽が影響を受けることでもある。

だからこそ、システム(音)が変れば、聴く音楽も変ってくる、とは昔からいわれている。
けれど私が知っている音の場合は、違う。

システムが変っても、そうやって音を強引にいじってしまうために、
どんなスピーカーであっても、すぐさま彼の望む音になってしまう。

なにも、このことは私だけが感じていたわけでなく、
彼の音を何度も聴いている人も、まったく同じ印象をもっていた。

嫌いな音をできるかぎり排除していく方向での、いきつく音。
それを良い音と信じ込めれば、周りがとやかくいうことではない──、
そうわかっていても、それははっきりと間違った音でしかない。

間違った音が、良い音なわけはない。

Leave a Reply

 Name

 Mail

 Home

[Name and Mail is required. Mail won't be published.]