Date: 8月 6th, 2018
Cate: 複雑な幼稚性
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「複雑な幼稚性」が生む「物分りのいい人」(理解についての実感・その11)

ハイ・フィデリティ・リプロダクションとグッド・リプロダクション。
ステレオサウンド 207号の特集に登場したスピーカーシステムの中で、
YGアコースティクスのHailey 1.2、アヴァロンのIndra Diamond、
マジコのS2 Mk2、B&Wの800D3などはハイ・フィデリティ・リプロダクションで、
フランコ・セルブリンのKtêma、KISOアコースティックのHB-G1、
ハーベスのSuper HL5 Plusなどはグッド・リプロダクションというふうに分ける人はいよう。

けれどハイ・フィデリティ・リプロダクションの定義をもう一度思い出してほしい。
原音再生ではないということだ。

ハイ・フィデリティ・リプロダクションは日本語にすれば高忠実度再生。
ハイ・フィデリティ・リプロダクションを定義したM.G.スクロギイもH.F.オルソンも、
ハイ・フィデリティ・リプロダクションとは、
「原音を直接聴いたと同じ感覚を人に与えること」としている。

ステレオサウンド 24号、瀬川先生の「良い音とは、良いスピーカーとは?」にそうある。
瀬川先生も書かれているように、ハイ・フィデリティ・リプロダクションとは、
物理的命題であるよりも心理的命題だということで、
ここを忘れての、ハイ・フィデリティ論は薄っぺらすぎる。

つまりハイ・フィデリティ・リプロダクションは、聴く人によって違ってくる。
人によってはKtêmaがハイ・フィデリティ・リプロダクションのスピーカーシステムになってくる。
Ktêmaだけではなく、一般的にグッド・リプロダクションと思われているスピーカーも含めて、である。

ここのところを理解せずに、
Ktêmaを選ぶ人を、好き嫌いでスピーカーを選んでいる、
と決めつけてしまうのははなはだ危険なことだし、
理解に欠けた行為でしかない。自分の薄っぺらさを公表しているものだ。

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