オーディオと「ネットワーク」(モニター機の評価・その2)
当時の口コミは、文字通りの口コミであり、
友人知人のあいだでなされる範囲にとどまっていた、といえる。
あるオーディオ機器をモニター試聴したオーディオマニア全員が、
モニター機に対し、肯定的な感想をもつと限らないし、
否定的な感想をもって、友人知人にそのことを伝える人だっていたはずだ。
それでも、当時の口コミは、いわば非公開ともいえる。
狭い範囲内においてのそれは、互いに相手を知っている、ということが前提となっている。
この人が、こういう評価をするということは、
私にとっては、少し修正して、おそらくこんな評価になるだろうな、
──そんなことが友人知人のあいだでの口コミでは、自然と行われていたのではないだろうか。
そこでは、誤解は生じなかったように思う。
その口コミは、ずっとそういう感じで行われてきたのが、
インターネットの普及によって、変りはじめている。
個人サイトの制作・公開が比較的に簡単になって、
オーディオの個人サイトは、いったいどれだけあるのだろうか、と、
数え切れないほどある。
私がaudio sharingを公開した2000年は、ヤフーの検索はディレクトリだった。
そこに登録されるかどうかは、サイトのアクセス数に大きく関係していた。
Googleの登場・躍進が、そこを大きく変えた。
そしてブログが普及して、より簡単に個人の情報発信が行えるようになった。
次はSNSの普及である。
日本ではmixiがまずあった。
私も一時期やっていた。
それからtwitter、facebookの普及。
これにはスマートフォンの普及も絡んでいる。
いまや電車の中からでも、それこそトイレの個室からでも、
やろうと思えば情報発信はできる。
これだけの変化によって、口コミも変っていった。
これからもさらに変っていくのかもしれない。