2018年ショウ雑感(その5)
(その4)へのコメントに、
《そんな程度の低いユーザーを作ったのは業界じゃありませんか?》とある。
そうともいえるし、そうではないともいえる。
ゆるく製品を作って利益をあげたいことばかりを考えている会社からすれば、
ユーザー(オーディオマニア)は賢くない方がいい。
その方が商売がやりやすいからだ。
言葉は悪いが、だましやすい。
もちろん、そういうメーカーばかりがあるわけではない。
これは、オーディオ業界だけではないのではないか。
どの業界でも、前者のようなメーカーはあるはずだ。
それからオーディオ雑誌を出している出版社。
読者(オーディオマニア)のレベルを上げていくことも、
オーディオ雑誌の、ひじょうに重要な役割のはずである。
けれどそれを実効するには、作り手側である編集者のレベルも、
それ以上に高めていかなければ、そういう本作りはできない。
やりたくてもできないオーディオ雑誌があるともいえるし、
オーディオ雑誌のレベルが高くなっても、読者がついてこなければ……、
という問題も生じることになる。
結局、それっぽいことをやっているような誌面をつくれれば、
それがなんとなく少なからぬ人が満足できるのかもしれない。
作っている側も満足できよう。
こんなことを書いていても仕方ないことで、
本来ならば、そういうメーカー、出版社の思惑に関係なく、
オーディオマニアが自身でレベルを高くしていけば、それでいいわけだ。
だから《そんな程度の低いユーザーを作ったのは業界じゃありませんか?》に対しては、
そうともいえるし、そうではないともいえる、と私は思っている。
そさ以前別項で書いているが、とにかく答だけを求めようとする人は、
今も昔もいる。
そういう人は歳をとったからといって、変りはしない。
そういう人に、答の前に、もっと大事な前提を話そうとしても、
それを遮り答だけを欲する。
しかも何度も同じことを訊ね同じ答を欲する。
そういう人に向い合っても、何ができるというのか。
なのでくり返す。
《そんな程度の低いユーザーを作ったのは業界じゃありませんか?》は、
そうともいえるし、そうではないともいえる。