オーディオと青の関係(名曲喫茶・その5)
西新宿の小さな店で始まった珈琲屋は、繁盛した。
映画館のピカデリーの隣に、そのころラオックスのビルがあった。
そこの二階に、もっと大きな店舗も展開していた。
店主のMさんは、私が通いはじめたころは、
そちらの店(こちらが本店になっていた)に立たれていることが多く、
西新宿の店(西口店)は、30代くらいのHさん(男性)、20代なかごろのKさん(女性)のふたりだった。
どちらかが休みのときには、Mさんが来られていた、と記憶している。
けっこうな回数通っていたけれど、Mさんの淹れるコーヒーを味わえたのは、そう多くない。
もっぱらHさん、Kさんの淹れてくれるコーヒーが私にとっての、
新宿珈琲屋の味となっている。
Mさんの珈琲の味は、別格といえた。
Oさんの話では、豆も淹れ方もそのままに、
東京で名の知れた喫茶店の味を再現してくれた、とのこと。
Hさんの淹れるコーヒーもおいしかった。
他の店で飲むコーヒーよりも、私にはずっとおいしく感じられた。
ただ上には上がいる、ということだった。
新宿珈琲屋では、HさんかKさんの淹れるコーヒーのどちらかだった。
どちらが淹れるかは、カウンター席のどこに座るかでほほ決っていた。
カウンターの中にいるHさんとKさん、どちらが座った席に近いか、ということだった。
それがいつしかほとんどKさんが淹れてくれるようになった。