真空管バッファーという附録(その2)
D38uは、audio wednesdayを行っている喫茶茶会記で使っているCDプレーヤーでもある。
真空管バッファー経由の音も何度も聴いている。
けれどaudio wednesdayでは、鳴らす音量との関係もあって、
パスした状態(solid stateポジション)で鳴らすことが多かった。
時々思い出したようにvacuum tubeポジションにすることもあったし、
搭載されている真空管を、店主の福地さんが別途購入した真空管に交換したこともある。
solid stateポジションとvacuum tubeポジション、
どちらの音がいいのかを判断するよりも、一種のトーンコントロールとして楽しんだ方がいい。
vacuum tubeポジションにすれば、ECC82のカソードフォロワーを一段よけいに、
信号が経由することになる。
余分なものは極力排除すべし、という考えの人からすれば、
そんなよけいなものを挿入するなんて……、ということになろうが、
目くじらをたてることだろうか、と思う。
使う人がいいと感じる方を選べばいいし、
かける曲、かける音量によっては、同じ人でも判断が逆になることだって往々にしてある。
レバースイッチひとつで簡単に切り替えられるものは、楽しんだ方がいい。
ECC82は双三極管だから、一本の真空管に二つのユニットが入っている。
カソードフォロワーのみという回路だから、
D38uではそれぞれのユニットを左右チャンネルに振り分けている。
ということは、セパレーション特性は若干劣化しているはずだ。
かといってECC82を二本使い、左右チャンネルで独立させれば、
ユニットひとつ分遊ばせることになる。
並列接続にするという方法もあるし、
一段増幅のカソードフォロワー出力という構成にする方法もある。
ただし後者では位相は反転することになる。
真空管がもう一本増えればコストはアップする。
どちらを選択するのか。
コストの制約のある実際の製品では、私も一本使用を選択するだろう。
ただ私は真空管のカソードフォロワーは好きではない。
やはりプレート側から出力をとりたい。
となると一段増幅では位相が反転する。
ならばvacuum tubeポジションにする際に、
デジタル信号処理で反転させておけば、トータルでは正相になる。