組合せという試聴(その11)
別項で、「音は人なり」は、思考の可視化と書いた。
思考の可視化ということでいえば、
組合せはまさに、思考の可視化である。
思考は(しこう)であり、
(しこう)は、志向、指向、嗜好でもある。
まさに組合せは、志向、指向、嗜好の可視化ともいえる。
このことに気づけば、組合せの記事こそがオーディオ雑誌の記事で、
もっとも興味深く面白い、といえる。
けれど実際は、編集者も組合せを考えるオーディオ評論家(商売屋)も、
組合せを思考の可視化とは、おそらく考えていない、はずだ。
スピーカーを決めて、それに合いそうなアンプを数機種見繕って、順に聴いていく。
その中から一機種選ぶ。
次はCDプレーヤーを数機種選んで……、
そんな試聴(受動的試聴)をやっていても、
オーディオ評論家にやらせても、
思考の可視化になるはずがない。
おもしろくなるはずがない。