B&W 800シリーズとオーディオ評論家(その7)
今年の春、新宿の東宝シネマズで「GHOST IN THE SHELL」を、IMAXで観た。
IMAXのスクリーンのある空間に入った。
まだ観客はそう多くはなかった。
ぽつんぽつんと坐っているくらいだった時に入った。
BGMも鳴っていなかった。
席について、3D上映用のメガネを取り出そうとした。
ビニール袋を破ろうとして気づいたのは、S/N比の高さだった。
とにかく静かである。
ビニール袋を破ろうとする音が、こんなにも大きく耳障りなのかと感じるほどに、
静かな空間だった。
ここまで遮音性が高く、しかもデッドな空間は、そうそうないだろう。
なにか物音をたててはいけない気持になるほどの静かさだった。
でも、それは心地よい静かさとは違う。
物理的にS/N比の高い空間であることは確かだが、
とにかく自分が立てる物音が気になるのだから、心地よい静かさなわけがない。
人が大勢入ってくれば、暗騒音のレベルが上ってくるから、
そんなことも薄らいでくるが、観客が少ないときの静かさは、
オーディオマニアならば一度は体験してみてほしい。
IMAXで3Dで、マルチチャンネル再生。
そのために必要な条件としての静かさなのだろう。
B&Wの800シリーズは、S/N比のよいスピーカーといわれている。
現在測定できる物理特性としてのS/N比は優秀であろう。
だからといって、そこに静寂さの深さがあるのかというと、
それは別問題であり、
IMAXスクリーンの空間にも、それはいえることである。