アナログプレーヤーの設置・調整(その32)
接点をこまめにクリーニングするということは、
クリーニングの度にケーブルを外しているわけである。
そのときに、RCAプラグがスポッと簡単に抜けてしまうとか、
スピーカー端子の締めがゆるいとか、
そういうことに気づかずに、ただクリーニングだけに気を取られていた知人は、
接点はクリーニングされていれば、それでいいんだ、と理解していたのかもしれない。
オーディオを通してであっても、
理解とは、人によってこんなにも違うのかと思うことが、少なくない。
知人は接点には気をつかっていると自負していた。
けれどクリーニングだけ、キレイにすることだけで、
しっかりと接触させるということに関しては、気が回らなかったのか、
無関心だったのか、とにかくゆるゆるの接続であった。
そういえば……、と思い出すことがある。
ある人からきかれた。
「昔のリンのLP12って、ターンテーブルの加工精度がひどかったんですか」と。
「そんなことはない」と答えたが、話をきいていくと、
きいてきた人の知人が、そんなことを言っていた、とのこと。
その人はLP12のターンテーブルが揺れながら回転していたから、
どうもそういう結論(加工精度が悪い)になったようだ。
私がLP12を見て、聴いたのは1980年になってからだった。
その数年前からLP12は輸入されていた。
そのころのLP12まで知っているわけではないが、
少なくともLP12は高い加工精度を特徴としていたフローティング型である。
LP12は加工精度が悪いといっていた人が、
自身でLP12を使っていたのか、それともどこかで見ただけなのかははっきりしないが、
おそらくフローティング型ゆえのサスペンションの調整が、
そうとうにひどかったのではないかと思われる。