世代とオーディオ(JBL 4301・その16)
私の世代にとって、4301はもっとも身近な、
いいかえればどうにかすれば手が届きそうなところにいてくれている存在だった。
当時のJBLの輸入元サンスイからは、
LE8Tを搭載したSP-LE8Tもあったが、わずかとはいえ4301のほうが廉かった。
それにユニットはどちらもJBLとはいえ、
フロントバッフルにJBLのロゴがあるのとないとは、
10代の若者にとっては、大きな違いでもあった。
つい先日のヘッドフォン祭にもJBLの製品は展示されていた。
ヘッドフォンがあり、イヤフォン、Bluetooth対応のスピーカーなどがあった。
ずいぶん身近に(安く)なったものだ──、と思ってしまうのは、
歳をとったからだけが理由ではないはずだ。
1986年にControl 1が登場した時も、同じように思っていた。
憧れの存在といえたJBLが、こんなに身近なところまで降りてきたことを、
素直に喜べない自分は、オーディオマニアからそうなのか、
それともなにか釈然としない気持は、他のところに理由があるからなのか。
Control 1でも、JBLのスピーカーである。
それでもBOSEの101MMの登場と、あの売行きがなければ、
Control 1は登場してこなかったスピーカーともいえる。
Control 1は43,800円(ペア)だった。
暫くしたから円高ドル安のおかげで四万円を切っていた。
Control 1はロングセラー商品でもあった。
コンシューマー用のControl 1は製造中止になったが、
プロフェッショナル用のControl 1 Proは現行製品だ。