Hi-Resについて(その9)
静特性は音質との関係性は薄い。
そんなことがずっといわれている。
確かに正弦波で測定するわけで、
しかもアンプの場合、負荷には抵抗器が使われ、
実際の入力信号、実際の負荷(スピーカー)とは大きく違う条件下での静特性である。
人間でいえば基本的な健康チェック的ともいえる。
それでもハイサンプリング化が上へ上へと高くなっていくと、
可聴帯域外の静特性の測定は、重要になっていると考える。
歪率やクロストーク、最大出力といったアンプに関係する項目だけでなく、
スピーカーのインピーダンス特性も、可聴帯域まで測定してみる必要が出てきているのではないのか。
スピーカーの教科書をめくると、フルレンジユニットのインピーダンス特性の説明が載っている。
f0でインピーダンスは最大になり、中高域ではほぼフラット、
それ以上の周波数になるとボイスコイルのインダクタンスによって上昇する。
そんな図と説明が、たいていの場合あった。
ただそれらはすべて可聴帯域内での特性である。
上限は20kHzまでであった。
ステレオサウンドの測定でもその点は同じだった。
あのころはそれでもよかった。
でも、現在はそうもいかない。
スピーカーのインピーダンス特性にしても、
最低でも100kHz、200kHzくらいまで測定してみる必要はあろう。
さらにはMHzの帯域まで測定してみることも必要となってこよう。
ボイスコイルはコイルゆえに高域にかけてインダクタンスは上昇していくが、
コイルには浮遊容量が並列に存在している。
周波数は高くなればなるほど、その影響は顕在化していく。
フルレンジスピーカーの場合は、ある程度の周波数まではどういう変化になるのかは想像がつく。
けれど実際のスピーカーシステムとなると、ネットワークや内部配線だけでなく、
アンプからのスピーカーケーブルを含めてまでが、アンプの負荷となるわけで、
実際の使用条件に等しい長さと種類のスピーカーケーブルを含めての、
200kHz、できればそれ以上の周波数におけるインピーダンス特性は、いまひじょうに興味がある。