Date: 6月 24th, 2017
Cate: デザイン
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「デザインするのか、されるのか」(その2)

グレン・グールドはピアノを使ったデザイナーだからこそ、
デザイナーの道具として、マイクロフォンとテープレコーダーが不可欠だった。
そう考えることもできる。

つまりグールドというデザイナーにとって必要な道具は、
ピアノ、マイクロフォン、テープレコーダーということになる。

グールドが自身のことをデザイナーと考えていたのかどうかは、なんともいえないが、
私はこの十年ほどは、かなり強く確信するようになっている。

少なくとも、どこかにデザイナーという意識、
デザインという考えを、音楽の演奏の領域に持ち込もうとしていた。

ピアニストという職業に必要なのは、ピアノがあればすむ。
そこにマイクロフォンとテープレコーダーがあれば、
自分の演奏を、演奏会に来られなかった人にも届けることができる。

でも、ここでのマイクロフォンとテープレコーダーという道具は、
レコード会社側の人たちにとっての道具であって、
グレン・グールド以外の大半のピアニストにとっての道具ではない。

もちろんグレン・グールドの場合でも、
マイクロフォンとテープレコーダーは、レコード会社側の人たちの道具であるわけだが、
同時にグールドにとっての道具でもある。

マイクロフォンとテープレコーダーが、
レコード会社側の人たちだけの道具にとどまらずに、
ピアニスト(なにもピアニストだけにかぎらないが)にとっての道具といえるならば、
そのピアニスト(演奏家)は、デザインの領域に少なくとも一歩踏み込んでいよう。

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