新製品(TANNOY Legacy Series・その8)
「コンポーネントステレオのすすめ 改訂版」には、
瀬川先生によるEatonの組合せがある。
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イギリスの名門といわれるタンノイの新シリーズのイートンは芯の強い緻密な音質。ロジャースLS3/5Aは、BBC放送局仕様のミニモニタースピーカーで、あまり大きな音は出せないが、繊細な細密画のような、あるいはスピーカーの向う側に小宇宙とでもいいたい空間の広がりを感じさせるような、独特の音を聴かせる。アンプとカートリッジは、オルトフォンのSQ38FD/IIならや古めかしさはあるが温かい表現だし、エレクトロ・アクースティックと5L15なら、鮮度の高く澄明で繊細な表現が得られる。どちらをとるかが難しいところ。
●スピーカーシステム:タンノイ Eaton ¥160,000
●スピーカーシステム:ロジャース LS3/5A ¥150,000
●プリメインアンプ:ラックス 5L15 ¥168,000
●プリメインアンプ:ラックス SQ38FD/II ¥168,000
●フォノモーター:ビクター TT-81 ¥65,000
●プレーヤーケース:ビクター CL-P1 ¥23,800
●トーンアーム:ビクター UA-7045 ¥25,000
●カートリッジ:オルトフォン SPU-GT/E ¥43,000
●カートリッジ:エレクトロ・アクースティック STS555E ¥35,900
組合せ合計¥520,000(Eatonを使用した場合)
¥510,000(LS3/5Aを使用した場合)
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「コンポーネントステレオのすすめ 改訂版」は1977年に出ている。
ラックスのプリメインアンプ二機種は、どちらも168,000円だが、
片方は管球式でもう片方は最新のトランジスターアンプで、
製品のコンセプトは、同じラックスの中にあっても対極といえる。
EatonはIIILZの後継機とはいえ、
搭載ユニットはトランジスターアンプ時代を迎えてインピーダンスが8Ωに変更されたHPDシリーズ。
IIILZにもHPD295を搭載したモデルはあるが、
一般的にいわれているIIILZはMonitor Gold搭載のモデルのことであり、
ここでのIIILZも、そのモデルのことである。
瀬川先生が5L15を組み合わせられる理由もわかる。
IIILZとSQ38FDの黄金の組合せからは、
おそらく得られないであろう《鮮度の高く澄明で繊細な音》。
透明ではなく澄明な音。
この組合せも、当時聴きたいと思っていた音のひとつだった。