ステレオサウンドについて(その86)
岩崎先生が亡くなられた時、
ステレオサウンド 43号に追悼文が載った。
井上先生、岡先生、菅野先生、瀬川先生、長島先生、山中先生が書かれていた。
55号には、なかった。
理由はなんとなくわかる。
55号の編集後記では、原田勲氏が、五味先生へのおもいをつづられている。
それからKen氏も、そうだ。
《ぼくのオーディオは「西方の音」で始まった》、
という書き出しでKen氏の編集後記は始まる。
編集後記はそう長くないから、すべて書き写してもたいした手間ではないが、
最後のところだけを引用しておく。
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以来格闘十年間、オリジナル・コーナーヨークにたどりついたところで、ぼくとタンノイの歴史は一旦終る。若さに目ざめたのである。
しかし本号の取材でオリジナル・オートグラフを聴き、手離したことを心底後悔した。西方の音で何度も読んでいた、あの音が聴こえてきたのだ。しかし戻ることはしないでおこう。タンノイが相応しい年齢になるまでは……。
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Ken氏は、私より十、上である。
タンノイが相応しい年齢ではないですか。