耳はふたつある(その4)
先日、あるオーディオマニアの方と、けっこう長い時間話していた。
その時、この話をした。
不思議というか、おかしな録音だった、と話したところ、
興味深い答が返ってきた。
マイクロフォンが水平ではなかったんじゃないか、ということだった。
1970年代は生録がブームだった。
生録マニアの中には、オープンリールデッキを持ち運ぶ人もいた。
私は録音の経験はあるけれど、いわゆる生録の経験はない。
そのオーディオマニアの方は、生録の現場にも行かれていた。
そこで目にしたのは、マイクロフォンを水平にしていない人が意外にいた、ということだった。
ステレオのマイクロフォンの場合、
それが一本でステレオ仕様であれ、
マイクロフォンを二本用いる場合であれ、
左右のマイクロフォンは水平になるようにセッティングするのが基本中の基本であるから、
まさかそんな使い方をする人がいるとは想像もしなかった。
けれど現実にはそういう使い方をする人が少なからずいた。
そうやって録音したものを聴いた経験もないから、どういう音になるのか想像し難いが、
確かにあの時聴いたおかしなワンポイント録音には、その可能性もあったのかもしれない。
左チャンネルのマイクロフォンを上に、右チャンネルのマイクロフォンを下に、
というセッティングで録音したら、どういう音(音場)になるのだろうか。
ほぼモノーラルに近い録音になのだろうか。
斜めだったらどういう録音になるのか。
測定だったら、どういう結果になるのだろうか。
マイクロフォンが一本であれば、こういう心配はない。