prototype(NS1000X・その1)
別項「耳はふたつある」で引用するために、
ステレオサウンド 32号をひっぱり出している。
32号の特集はチューナー。あまり売れなかったときいている。
チューナーにあまり関心のない人にとって、
32号はそれほどおもしろい号ではないだろうが、その他ではなかなか興味深いところがある。
それは記事だけでなく、広告においてもだ。
ヤマハの広告。
そこに「自在に、理想の形」というキャッチコピーとともに、
NS-1000Xという型番のスピーカーシステムがある。
誰の目にも明らかなようにNS1000Mである。
けれど型番末尾のMではなくXとなっている違い同様、外観にも違いがある。
サランネットはNS1000Xにも装着できないようになっている。
ウーファーの前面に保護用の金属ネットは、NS1000Xにはない。
エンクロージュアも、色は黒だが仕上げが違うように見える。
YAMAHAのロゴも、ない。
これだけの違いなのに、
NS1000MとNS1000Xの印象は、ずいぶんと違う感じとなっている。
NS1000MとNS1000X、
仮にまったく同じ音がしたとしても(実際にはそんなことはありえないのだが)、
NS1000Xのままでは、ベストセラーになっただろうか、と思ってしまう。
NS1000Mのウーファーのネットが、音に影響を与えているのは確認済み。
それでもモノとしての魅力があるのは、NS1000Mの方である。
1000Xから1000Mへの変身は、どういう経緯で行われたのだろうか。