グールドの椅子
グレン・グールドが、終生愛用した、父親製作の折畳み式の椅子。
2年前、そのレプリカが、フランスで作られ、現在購入できる。
990ユーロ+送料で、世界中に配送してくれる。
The Glenn Gould Chair
1991年だったか、カナダ大使館で開催された「グレン・グールド1988」展。
グールドが亡くなった翌年(1983年)に、カナダ国立図書館に寄贈された遺品は、
25万点以上あり、その整理に時間がかかり、カナダで最初に開かれたのが1988年。
日本での公開は3年後で、約200点が展示されていた。
平日とはいえ、会場はガラガラだった。
日本でのグールドの人気を考えると、信じられないくらいの人の少なさ。
椅子も展示されていた。
グールドの晩年、椅子の状態は相当にボロボロの状態だったと話はきいていたが、
実物は想像以上にひどかった。
「こんなのに座っていたの?」というぐらいに。
その椅子のレプリカ──。
グールドがその椅子に座り、ピアノ(音楽)と向き合ったように、
この椅子に坐ったからといって、グールド的リスナーになれるわけでもないけれど、
グールドの演奏を聴くときには、この椅子で、と思う。