ケーブル考(銀線のこと・その6)
SMEの3012-Rの最初の広告には「限定」の文字があった。
SMEもそれほど売れるとは考えていなかったのかもしれない。
けれど3012-Rは高い評価を得た。
特にステレオサウンド 58号の瀬川先生による紹介記事を読んだならば、
このトーンアームを買っておかなければ、と思ってしまう。
私もそのひとりである。
3012-Rはかなり売れたのだろう。
いつのまにか「限定」の文字がなくなって、販売は継続されていった。
それだけでなく、さらなる限定モデルとして金メッキを施した3012-R Goldを出す。
その後3012-R Proも出してきた。
このトーンアームの内部配線も銀線であり、
ピックアップケーブルも銀線になっていた。
ステレオサウンド試聴室では、
マイクロのSX8000IIに、この3012-R Proを取り付けて、
ケーブルも付属の銀線をリファレンスとしていた。
つまりこのアナログプレーヤーにオルトフォンのSPU-Goldを取り付ければ、
発電コイルから出力ケーブルまで銀線で揃えられる。
いうまでもなくオルトフォンもSMEも、当時はハーマンインターナショナル扱いブランドだった。
ちなみにケーブルの両端についている保護のためのコイルスプリングは外していた。
この部分にアセテートテープ貼ってみる。
これだけでも音は変化する。
さらにこれを取り除くと、その変化はもっと大きくなる。
このコイルスプリングは鉄でできている。
機械的共振と磁性体を取り除くことになる。
銅線でもそうだが、銀線では特に、
このコイルスプリングがあると良さが出難くなる印象を持っている。