モノづくりとオーディオのプロフェッショナル(続ステレオサウンド 47号より)
システムコンポーネントを略してシスコン。
私がオーディオに興味をもちはじめたころ、シスコンという言葉はよく使われていた。
システムコンポーネントはいうまでもなくメーカーによるシステム一式のことだ。
価格的、グレード的に見合ったアナログプレーヤー、プリメインアンプ、チューナー、スピーカーシステム、
いわゆるメーカー推奨の組合せ(システム)である。
これに対してユーザーが自由に選んでコンポーネントシステムをつくる。
そうやってつくられた組合せをバラコン(パラゴンではない)という呼称があった。
バラバラのコンポーネントを組み合わせるから、バラコンである。
ひどい言葉である。
バラコンという言葉を、幸いにしてというべきか、私のまわりにいる人は使っていない。
耳にしたこともなかった。
私がバラコンを耳にしたのは一度だけである。
瀬川先生が使われたときだけである。
瀬川先生は、バラコンという言葉を毛嫌いされていた。
いまバラコンという言葉が使われている。
言葉をざんぞい扱っている。こんな言葉は使いたくないし使うべきではない。
そういった趣旨のことを話された。
このとき、バラコンという言葉があるのを、使われているのを知った。
だからいっさい使っていない。
もう一度引用しておくが、瀬川先生はステレオサウンド 47号にこう書かれている。
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だが、何もここで文章論を展開しようというのではないから話を本すじに戻すが、今しがたも書いたように、言葉の不用意な扱いは、単に表現上の問題にとどまらない。それがひいては物を作る態度にも、いつのまにか反映している。
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バラコンは、まさに《不用意な言葉の扱い》であり、
バラコンを使っているメーカーの《物を作る態度にも、いつのまにか反映している》はずだし、
同じことはオーディオマニアが組合せ(コンポーネント)をつくる態度にも、いつのまにか反映しているはずた。