オーディオと青の関係(その8)
ソニーの初代ウォークマンよりも、もっと小さな青のモノといえば、カートリッジがある。
オルトフォンのMC20がそうである。
オルトフォンを代表するカートリッジといえば、いまもつくられ続けているSPUがある。
このSPUの改良モデルとしてS15が出た。その後SL15なり、SL20も登場した。
けれどSPUの後に登場したこれらのモデルは、成功した、とは思えない。
オルトフォンがやっとSPUと並ぶモデルを開発できたのはMC20といってもいい。
MC20の成功がMC30を生み、MC30の成果がMC20にフィードバックされMC20MKIIになり、
この後もMCシリーズは展開し続けていく。
MC20のボディはSL15、SL20と同じであるが、色が違う。
MC20のボディは青だった。
MC30は上級機ということ、そして当時としては10万円ちかい、
かなり高価なカートリッジということもあってだろう、ボディの色は金だった。
MC20MKIIはMC20の改良モデルでもありながら、
MC30の普及クラスモデルとして位置づけだからだろう、
ボディの色はMC30系統であることを思わせる銀だった。
当時MC30は高すぎて手が届かなかった。
それ以外にも出力電圧が低すぎた。
まだ高校生だった私は、仮にMC30を手に入れたとしても使いこなせる自信も、
そのための環境を用意することもできないとわかっていたことも理由としてあった。
MC20MKIIは、私にとってはじめてのMC型カートリッジである。
音も気に入っていた。
MC20よりも、音の魅力もあった。
どことなく素っ気なく聴こえがちのMC20よりも、音楽をずっと魅力的に響かせてくれた、と感じていた。
あの時点で選ぶとしたらMC20よりもMC20MKIIではあったが、
いまとなると青ということでMC20を選ぶかもしれない。
MC20は青がふさわしいカートリッジなのかもしれない。