世代とオーディオ(あるスピーカーの評価をめぐって・その7)
オンキョーGS1の能率の低さに関しては、他の方も発言されている。
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山中 グランセプターの良さは充分認めた上でのことですが、さっき、菅野さんがちょっと振れられたけれど、ネットワークの問題というのは、ぼくはあのスピーカーでいちばん気になるところなんです。あれだけの高能率のスピーカーが、あそこまで能率を落とされてしまうというのは。例えばアクティブなイコライザーとか、そういうものを早く開発してもらいたいですね。そうしないと、本当のグランセプターの実力を発揮した音は出てこないんじゃないかと思うんです。
(中略)
岡 ぼくは、やっぱりホーンスピーカーというのは、能率がいいというのが大きなメリットだと思う。本当はそうあるべきなのが、86dB/W/mというのは、非常に低い。
菅野 単に能率が高いか低いか、大きな音を同じパワーで出せるか出せないかじゃなくて、リニアリティに関係してくるんですよ。もったいないですね。
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菅野先生はステレオサウンド 74号での特集では、
《今までこのスピーカーを聴いた体験から、200Wや300Wではちょっと足りない》
とされている。74号ではGS1を鳴らすパワーアンプとして、
マッキントッシュのMC2500を組合せの第一候補にされている。
MC2500の出力は500W+500W。
菅野先生は《本当は1kWぐらい欲しいところ》とされているが、
1985年時点ではコンシューマー用パワーアンプとしては500Wが上限だった。
オンキョーはGS1を鳴らすためにGrandIntegra M510を出している。
出力300W+300Wの、かなり大型のパワーアンプである。
外形寸法はW50.7×H26.4×D21.2cmで、重量63kgのパワーアンプである。
M510もステレオサウンド 73号で、Components of the years賞に選ばれている。