スピーカー・セッティングの定石(その4)
同時にもうひとつ思い出していたことがあった。
KEF Model 105の後継機であるModel 107のことだ。
105と107はウーファーが異る。
中高域は105のスタイルを受け継いでいるが、
107の低域部はウーファーユニットが見えない構造をとっている。
エンクロージュアの形状は前面を傾斜させた105のスタイルから、
縦長のスタイルに変更されている。
そのためもあって、105のスタイルを見馴れている目には、
107は背高のっぽにうつるし、首(中高域部)だけが箱の上にのっかっているだけのようにも見える。
105では30cm口径のコーン型ウーファーによるダイレクトラジエーションだった。
107では25cm口径のウーファーを二発、エンクロージュア内におさめている。
低音は床に向って放射される。
KEFではCC(The Coupuled Cavity)方式と呼んでいた。
107には、それまでのKEFのスピーカーにはなかったアクティヴイコライザーが付属していた。
このModel 107なのだが、なぜか聴いた記憶がない。
発売されていたのは知っていた。
107が発売になったころはまだステレオサウンドにいたから、
聴いていて当然なのに、その記憶がない。
当時は、KEFも、こんなスピーカーを出すようになったのか……、と少し落胆した。
このことだけは憶えている。
でも、いまは少し違う見方をしている。