Date: 9月 9th, 2015
Cate: James Bongiorno
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Ampzilla(その8)

GASのThaedraとAmpzillaが表紙になったステレオサウンド別冊がある。
1976夏に出た「世界のコントロールアンプとパワーアンプ」である。

最新コントロールアンプ/パワーアンプ 72機種のヒアリング・テストということで、
試聴は井上卓也、岡俊雄、黒田恭一、瀬川冬樹の四氏が、
外観とコンストラクションについて、岩崎千明、山中敬三の二氏、
それぞれ担当、座談会形式で記事が構成されている。

試聴記は見開き二ページで載っている。
瀬川先生は、男性的な音ということで好みとしては女性的な音のアンプを選びたい、とされているが、
《自分の好みは別として、とにかくすごく見事なアンプだと思うし、本当に良い音だと思う。耳の底にしっかりと残る音ですね。》
と高い評価だ。

黒田先生は《ぼくは非常にほしくなったアンプです》と発言されている。
瀬川先生にとって男性的であることが購入対象からはずれるのに対し、
黒田先生は男性的であることが、ほしいと思わせることにつながっている。
     *
 瀬川さんはこのアンプの音を男性的とおっしゃったけれども、それに関連したことから申し上げます。これはぼくだけの偏見かもしれないけれど、音楽というのは男のものだという感じがするんです。少しでもナヨッとされることをぼくは許せない。そういう意味では、このシャキッとした、確かに立派な音といわれた表現がピッタリの音で、音楽を聴かせてもらったことにぼくは満足しました。
     *
「世界のコントロールアンプとパワーアンプ」の巻末には、
ヒアリングテストの結果から私の推奨するセパレートアンプというページがある。
瀬川先生はGASのペアは推選機種とされている。
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 耳当りはあくまでもソフトでありながら恐ろしいほどの底力を感じさせ、どっしりと腰の坐った音質が、聴くものをすっかり安心感にひたしてしまう。ただ、試聴記の方にくわしく載るように、私にはこの音が男性的な力強さに思われて、個人的にはLNP2とSAE♯2500の女性的な柔らかな色っぽい音質をとるが、そういう私にも立派な音だとわからせるほどの説得力を持っている。テァドラ/アンプジラをとるか、LNP2/2500をとるかに、その人のオーディオ観、音楽観のようなものが読みとれそうだ。もしもこれを現代のソリッドステートの二つの極とすれば、その中間に置かれるのはLNP2+マランツ510Mあたりになるのか……。
     *
井上先生、岡先生の評価も高い。
岡先生は《これほど音楽の中身を洗いざらいさらけ出してくれるようなアンプは、非常に珍しい》とし、
《曖昧さのない、決まりのはっきりとした音》ゆえに高く評価されている。

井上先生は弱点と指摘しながらも、
GASのペアは、小音量と普通の音量で聴いた時に、音楽的バランスが崩れなかったとして、
立派なアンプだと評価されている。

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