モニタースピーカー論(APM8とAPM6・その6)
一般的なウーファーであるコーン型だと振動板の中心は奥にある。
つまり凹みがある。
大口径になればなるほど凹みは大きくなる(奥に引っ込む)傾向にある。
ドーム型は逆ドーム型のモノもあるが、大半は前面に出ている。
コーン型と反対で凸である。
ホーン型はホーンの形式による。
基本的にはホーンなので奥に長いわけだが、
音響レンズがついていると、前に張り出している
平面振動板には、当然なのだが、この凹凸がない。
それが平面振動板ユニットの、他の方式のユニットにはないメリットではあるものの、
実際にフロントバッフルにとりつけてスピーカーシステムとしてまとめてみると、
それまでの凹凸のあったスピーカーシステムを見馴れた目には、
振動板だけでなく、フロントバッフル全体も平面(平板)な印象になってしまいがちだ。
エスプリ(ソニー)のAPM8が細かな凹凸だらけのAGバッフルを採用したのは、
もちろん音質面での配慮からだろうが、
外観が平板にならないように、という意図もあったのかもしれない。
テクニクスのSB-M1の左右両端の把手も、そういう意図があるのかもしれない。
テクニクスの発表資料には、指向特性の改善に貢献している、とあるが、
果して、どれだけの効果があるのだろうか。
私がそう思ってしまうのは、SB-M1のレベルコントロールもそうだからだ。
ミッドバス、ミッドハイ、トゥイーター、それぞれ連続可変のレベルコントロールをもつ。
つまり三つのツマミを配したパネルは、フロントバッフルより奥まった位置に取りつけられている。
この部分には凹みができている。
エスプリのAPM6には、レベルコントロールはない。
このレベルコントロールの有無、その取りつけ方法。
ここからいえるのは、聴感上のS/N比に対する配慮の違いだ。